伝統芸能を携えて全国各地を巡る旅日記

伝統芸能を上演する民族歌舞団「花こま」の活動をお知らせいたします!

集まれ!人形愛好家!〔兵庫県姫路市〕

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今回は、人形の「手」と「足」についてです。こちらは、人形の「手」となります。腕が全部ある訳でなく、このように、大体「ひじ」から手先の部分だけを作り込んであり、通常は肩板から紐でぶら下がっています。従来の「文楽」「車人形」でも同じような構造の「手」が使われています。また、今手で持っているところを動かせば、手首が動くという構造になっています。ところが、今回の製作で発見したのですが、その操作を行う部位が従来の「文楽」「車人形」の「手」と比べ、90度回転していました。私達は、使い始めてこのかた、当たり前にずっとこの形で使い続けて来ましたので、発見した時の驚きは相当なものでした。ずっと、同じだとばかり思っていました。私達のものは、内部の構造としては、少し複雑となるのですが、使い方は人間の手と同じ向きで使えるので、操り方は私としては自然かなと思っています。誰が、いつ、このような改造を加えたのか、今後の研究課題が増えました。

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女の子の「手」となります。人間の手の関節の雰囲気が出る様に、切れ込みが入っていて、関節が動く様に三味線の皮を挟み込んでいます。皆さんの指の関節を確認して頂きたいのですが、3つあるはずです。ところが、「文楽」も「車人形」も指の関節は2つしかありません。そこがまた面白いところです。2つしかないのに、観ている観客の皆さんは、まったく人間と同じだと錯覚をして観ています。そこが人形の面白いところです。人間の様に3つの関節が無くても、そこまでリアルに再現しなくても、「そう見える」のだからこれでいいと私達の先輩方はそう結論を下したのだと思っています。「人形の世界」自体、リアルな人間じゃなくて「嘘」「虚構」の「作り物」の世界ですから、「そう見え」さえすればそれでいいんです。おかしくなければそれでいいんです。

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「足」です。こちらは、「関節」が無く、固定された足首となっています。また、膝から下のみ作り込まれています。作品の内容によって、「わらじ」を履いてみたり、「草履」を履いてみたり、そのまま「裸足」という事もあります。