伝統芸能を携えて全国各地を巡る旅日記

伝統芸能を上演する民族歌舞団「花こま」の活動をお知らせいたします!

雪舟の床の涙と、園児の床の涙!〔兵庫県姫路市〕

獅子で会場を回っていると、床に子ども達の涙が落ちているのを見つけました。床の涙から、思わず「雪舟」の逸話が頭をよぎるのでした。その昔、宝福寺に入った幼い日の「雪舟」が、絵ばかり好んで経を読もうとしないので、寺の僧は「雪舟」を仏堂の柱に縛りつけてしまいました。「雪舟」は涙を流し、床に落ちたその涙を足の親指に着け、床に鼠を描きました。そのあまりの見事さに感心し、とうとう絵を描くのを許されたというお話です。涙を流し泣き叫ぶ園児をよそに、園児が安心して噛んでもらえる様に、先生は我が子の様にしっかりと抱きかかえ、噛んでもらう順番をひたすら待つのでした。大人の思惑と子ども達の感情とが、幸せを求めて複雑に絡み合う、そんなひと時となる公演でした。

演目:寿獅子、もちつきばやし