伝統芸能を携えて全国各地を巡る旅日記

伝統芸能を上演する民族歌舞団「花こま」の活動をお知らせいたします!

人間らしい生活か、金がすべての生活か。

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昨年、水俣に伺った折に、市立水俣病資料館を見学し、びっくりしました。水俣病は工場廃液に含まれていた有機水銀が原因でしたが、それはもう解決してしまった事では無く、今も私達が呼吸する空気中にたくさんの有機水銀が漂っており、誰でも、いつでも、どこにいても接種してしまうという恐ろしい内容でした。有機水銀は脳神経細胞を委縮させ、あらゆる障害を引き起こす、通常自然界には無い物質です。今回知り合いから、同じ水俣市にある一般財団法人相思社(そうししゃ)理事の永野三智(ながのみち)さんを紹介され、お話を伺いました。相思社は、水俣病被害者に関わる問題について、相談に応じたり、その解決を図っておられます。また、水俣事件に関する調査研究を進め、その成果の普及・活用に努めておられるところです。「水俣病事件は、一企業の犯罪にはとどまらず、便利で豊かな生活を追い求めるという、ごく当たり前とされる行為で生み出された事件で、水俣病患者は、歴史の、人間の、欲望の犠牲者だった」と、綴られています。今や、科学技術を駆使し、まったく自然界に存在しない人工的な物質で、私達の環境は溢れかえり、それ無くして生活できないレベルに達しています。それらの物質が生物にどんな影響を与えるのか、考えず自然界に放出したので、水俣病が起こったのです。電磁波や放射能の影響もこれからの話です。私達の生活そのものを考え直す警鐘として「水俣病」はあるのだと思いました。「水俣病」は、今も解決されておらず、母の胎内で水俣病となった胎児世代の皆さんの裁判は続いています。今でも体に異常があっても、「水俣病」と名乗り出る事さえも躊躇されています。「経済」さえ良ければ、豊かな生活が約束されるという幻想は崩れ去っていっています。人間らしい生活か、金がすべての生活か、今正にその選択が迫られている時代なのだと思いました。

f:id:MinzokukabudanHanakoma:20150319192856p:plain水俣の海で漁をする漁師さん

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