伝統芸能を携えて全国各地を巡る旅日記

伝統芸能を上演する民族歌舞団「花こま」の活動をお知らせいたします!

簡単に環境を変えてしまってはいけないのだと、改めて思いました。

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松藤さんと1年振りの再会です!タバコを止められたそうで、とってもお元気そうでした。有明海の現状のお話を伺いました。

干拓のために諫早湾を潮受け堤防で閉め切った事が、漁業被害の原因だとする長崎、佐賀、福岡、熊本の有明海沿岸4県の漁民が排水門の開聞を求めた裁判で、福岡高裁は被害と干拓との一定の因果関係を認め、2010年12月、3年以内に5年間開門せよと命じました。それに対し、農民は開門すれば農業用水が失われ、塩害も起きるとして一貫して反対してきました。その訴えにも拘らず、農水省長崎県は代替水源の確保を怠ってきました。そんな中、再度農民らが開門するなと訴えた裁判で、長崎地裁は「準備工事が行われそうもない」と農民らの主張を認める仮処分を出しました。それで開門ができなくなると、一層漁業被害、生活の困窮となるので、漁民側は、農水省に開門を迫るため、佐賀地裁に開門するまで制裁金を支払うよう申し立て、昨年4月に認められました。農水省は現在漁民45人に1人1日1万円を支払っています。これまでの支払われた総額は1億円に上ります。このお金は、有明海再生に使うように、弁護団がプールしています。本当にひどい話です。昨年私達も現地を見ましたが、潮受け堤防の内側の水はひどく汚れ、毎年ユスリカが大量発生するとかで、あらゆるところに死骸がありました。また、肝臓毒を持つアオコも大量発生し気味の悪い水の色となっていました。これも、開門すればどういった時間で、どれだけ改善されるのかハッキリします。開門を遅らせば遅らせる程、何も良い事はありません。今年も松藤さんのお話を伺い、「簡単に人間の手で環境を変えてしまっていけない」のだと、昨日の水俣に引き続き、心に突き刺さる思いでした。

 

Photo_3潮受け堤防中ほどのPAにある案内板から
松藤さんは、本明川の水はそのまま海に流し、また、本明川の水を一部ため池にして農業用水にすれば、農民も漁民もどちらにとってもいいのではないかと話されていました。その上で開門すれば、何の問題も起こらないし、海はきれいになる、魚は捕れる、貝も捕れる、海苔も採れる、これ以上税金の無駄遣いにもならない、こんないい話は無いのではないかと力説されていました。

Photo_4左側は外海、右側が潮受け堤防の内側、明らかに水の色の違いが分かります。降雨のごとに右側の水嵩が増えるため、外海に年間4億~5億トンの汚濁水が排水され、その汚濁水の影響で、魚、貝、海苔の漁獲量が激減しました。水門を開け、諫早の広大な干潟が再生されれば、短期間に有明海は良くなるという研究者の報告があります。

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